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痛風男の備忘録
怪異譚に憑りつかれた、或る男の半生を綴ります。
着信アリ
何時の頃か忘れた。

毎晩、私が風呂から出るのを見計らうかのように、
実家の電話が鳴った。

慌てて風呂から上がり、受話器を取ると、
いつもそのタイミングで電話は切れた。

着信を見ると、
どうやら公衆電話からのようだった。

ある時、風呂から出るタイミングをずらした時、
偶然その電話を受け取る事が出来た。

『ザーーーッ』
砂嵐の様な雑音の中から
『あっ・・・あっ・・・あっ・・・』
男の呻き声が聞こえた。

暫く聞いていると、それは読経に変わった。

気分が悪くなったので、
『はい、こちら葬儀社です』
と答えたら、プツンと電話は切れた。

それ以来、
風呂上がりの電話がかかってくる事は
無くなった。
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実家の事情 其之一
『ドスン』『パーン』
実家にてラップ音が鳴ると、
だいたいその源は仏壇だった。

ある時、仏壇にお参りしていると、
『ボム』という音と共に、
仏壇中に白い煙が立ち込めた。

仏壇に供えてある水は、
いつも数時間もたてば、
炭酸水に変化していた。

某霊能者に言わせれば、
それは霊が集っている証拠なのだという。

何気ない日常の一コマである。
実家の事情 其之二
実家は所謂“寺町通”と呼ばれる一帯にあった。
だから、実家の風呂とトイレの外は墓場だった。

幼い頃、深夜トイレに起きると、
窓の外では人魂が飛び交い、
ピンク色で半透明な人達が、
頻りに何かを探す光景が見れた。

或る時、風呂に入ると、
墓場側の窓に蒼白い顔が並び、
ふと洗い場を見ると、
誰の物かも分からぬ長髪が
散乱しているのであった。

風呂から出て洗面所で身なりを整えている時、
鏡越しに風呂場に目をやると、
タイルから鎧武者が出て来た事もあった。

そんな事を書き出したらキリがないので、
この辺で筆を置く事にする。
ほんとにあった?
某投稿系の心霊ビデオシリーズ。
その殆どはインチキと言われているが、
中には偶に“本物”が紛れ込んでいるらしい。

私はその僅かな可能性に賭けて、
レンタル落ちの商品だけを買い漁った時があった。
あれだけの人気シリーズが、
中古市場に出回ると言う事は、
それなりの事情があるのだろう、
と見込んだからだ。

『こっくりさん実況動画』
或る作品にそんな動画があった。
某大学のオカルト研究会の提供だそうだ。

導入部が始まると、
暫くして部屋中に異臭が立ち込め始めた。
端的に言えば『獣臭』である。

画面では学生達が、
『臭い臭い』と騒いでいる。
それはこちらも同じだと思った。

ビデオの内容が進むにつれ、
部屋に獣臭が充満していった。

そしていよいよ目玉の本編が
スタートする時になって、
画面にはこんな注意書きが掲示された。

『このビデオを見る際、
極稀に獣の臭いが漂う事があります。
その際は部屋の換気をお願いします』

そういう事は、もっと早く伝えて欲しい
と思った。
幼い頃の記憶 其之一
私が寝起きしていた二階の部屋は、
霊能者曰く、『霊道』なのだそうだ。

幼い頃、この部屋でよく遊んだが、
未だに不可解な点がある。

まずこの部屋は、
昼夜問わず白い光に満ちていた。
曇りの日でも、薄ら明るいのである。

『高い高い』をしてもらった覚えがある。
その時、誰が私を抱えてくれたのか?

全身黒ずくめの男・・・正確には
黒い影が立体化した男。

私達兄弟は、その黒い男に抱きかかえられ、
天井すれすれまで上げられた。

ただ正確に誰だったのか?
未だに解らず仕舞いである。